ElevenAgents Freeは15分込み。Starterは$6/月で75分込み Free 4通話 / Starter 6通話
最初に決めたいのは「自分で組みたいか、運用までまとめたいか」
4サービスを選ぶとき、最初に料金だけを見るより、どこまで自分で音声AIの構成を組みたいかを考えた方が候補を絞りやすくなります。
Vapiはこの中でも、音声エージェントを構成する各要素を自分で選びたい開発者と相性がいいサービスです。
Vapiでは音声認識、LLM、音声合成を組み合わせてエージェントを構築でき、プロバイダーのAPIキーを自分で持ち込むこともできます。独自APIへ接続するカスタムツールや、コードをVapi側で実行するCode
Tools、MakeやGoHighLevelとの連携も用意されています。複数の専門エージェントを会話中に切り替えるSquadsもあり、一つの大きなプロンプトへ全部の処理を詰め込まず、問い合わせ→予約→担当部署への引き継ぎといった役割分担も作れます。
つまりVapiは、完成したコールセンターサービスをそのまま導入するというより、自社サービスの中へ音声AIを組み込むための基盤として使いやすいタイプです。
Retell
AIは、開発の自由度を残しながら、本番の電話業務を運用するところまで一つのサービスで揃えやすいのが特徴です。
会話を一つのプロンプトで作る方法だけでなく、ドラッグ&ドロップのConversation
Flowを使ったノード型の会話設計ができます。電話転送、IVR操作、DTMF入力、ナレッジベース、バッチ通話などに加えて、運用後にはライブ通話の監視、会話履歴、分析ダッシュボード、AIによる品質評価まで用意されています。
予約受付や問い合わせ対応のように、「AIに話させられるか」だけではなく、「実際に何百、何千件と電話した後に、失敗した会話を確認して改善できるか」まで含めて考えるなら、Retell
AIは候補にしやすいです。
Bland
AIも電話業務を中心にしたサービスですが、料金体系に一つ大きな違いがあります。
Startプランでは1分$0.14で、LLM、リアルタイム音声認識、音声合成がその料金に含まれます。外部のモデル料金を組み合わせて計算する方式ではないため、通話量からおおよその料金を把握しやすい構成です。Blandには着信・発信、外部APIの実行、バッチ通話、Webへのエージェント埋め込みなども用意されています。
ElevenAgentsは、ElevenLabsの音声技術を中心にしつつ、現在は単なる「声を付けたチャットAI」よりかなり広いプラットフォームになっています。
システムプロンプトだけでなく視覚的なWorkflow
Builderで会話フローを作れ、ナレッジベース、RAG、外部ツール、電話転送なども組み込めます。Webへのウィジェット埋め込み、React、iOS、Android、React
Native向けSDK、SIP、Twilio、バッチ発信にも対応しています。
そのため現在は、
Vapi = 自分で音声AIスタックを柔軟に組みたい
Retell AI = 電話業務の構築から監視・改善までまとめたい
Bland AI = 電話を中心に比較的分かりやすい単価で運用したい
ElevenAgents = 音声体験を重視しつつWeb・アプリ・電話まで展開したい
という分け方から考えると、候補を絞りやすくなります。
料金は「1分いくら」だけでは比較できない
AI音声エージェントでは、表示されている1分単価をそのまま比較すると実際の支払額とずれることがあります。
最も分かりやすい例がVapiです。
VapiのBuildではホスティング料金が$0.05/分ですが、これは音声エージェント全体の料金ではありません。STT、LLM、TTSなど使用するモデルプロバイダーの料金が別途加わります。自分のAPIキーを登録すれば、そのプロバイダー分についてVapiからは請求されず、各プロバイダーへ直接支払う形にもできます。
つまり、Vapiの$0.05/分とBland
AIの$0.14/分をそのまま比べて、「Vapiの方が約3分の1だから安い」とは言えません。
Bland
AIのStartは$0.14/分ですが、その単価にLLM、STT、TTSが含まれています。Buildは月額$299+$0.12/分、Scaleは月額$499+$0.11/分となり、利用量を増やすと分単価が下がります。
Retell AIはPay as you goが基本で、AI Voice
Agentsは$0.07〜$0.31/分です。
価格に幅があるのは、使用する音声や言語モデルなどの構成によって料金が変わるためです。電話番号などには別料金があり、Retell管理の電話番号は月額$2、20通話を超える追加の同時通話枠は1枠あたり月額$8となっています。
ElevenAgentsは月額プランへ通話時間を含める方式です。
Freeは月額$0で15分、Starterは$6で75分、Creatorは通常$22で275分、Proは$99で1,238分、Scaleは$299で3,738分、Businessは$990で12,375分が含まれます。追加通話は$0.08/分で、LLMや電話回線の料金は別途利用量に応じて加わります。
ここまで見ると、料金で選ぶときに必要なのは単価ランキングではありません。
月に何分話すのか、何通話を同時に処理するのか、どのLLM・音声を使うのか
まで決めて初めて比較できます。
少量の検証なら無料枠やPay as you
goで始めやすいサービスを使い、本番移行前に想定通話分数から再計算する方が現実的です。
同時通話は、本番運用するならかなり大きな差になる
1人がAIと話せるだけなら、4サービスとも実現できます。
コールセンターや営業電話になると重要なのは、同時に何件の電話を処理できるかです。
VapiのBuildは10同時通話が含まれ、追加枠は1回線につき月額$10です。着信と発信は同じ組織の同時通話枠を共有します。アウトバウンドCampaign側で最大同時数を指定しても、それ自体が通話枠を増やすわけではありません。
Retell AIはPay as you
goの段階で20同時通話が無料で含まれます。20を超える場合は1同時通話につき月額$8で追加できます。
Bland
AIはStartが10、Buildが50、Scaleが100同時通話です。さらに1日の通話上限もStart
100件、Build 2,000件、Scale
5,000件とプランごとに明確に分けられています。
ElevenAgentsはFree 4、Starter 6、Creator 10、Pro 20、Scale 30、Business
40同時通話です。上限を一時的に超えたい場合にはBurst
Pricingもあり、設定すれば通常の最大3倍まで同時通話を増やせますが、上限を超えた分は通常の2倍となる$0.16/分で課金されます。
問い合わせ窓口を1回線から試すだけなら、ここは大きな違いになりません。
一方、予約確認を数百人へ一斉にかける、広告後の問い合わせを同時に受ける、営業電話を複数回線で回すといった用途では、通常時の同時通話枠と、それを増やす料金まで先に確認した方がいいでしょう。
会話の作り方は「プロンプト中心」と「フロー設計」の両方へ広がっている
以前のAI音声エージェントは、システムプロンプトを書いて会話させるというイメージが強いサービスでした。
現在は4サービスとも、業務フローを作るための仕組みが増えています。
Retell AIではSingle Prompt Agentに加え、Conversation Flow
Agentを使ってノードベースで会話を設計できます。
たとえば、
問い合わせ内容を聞く
→ 契約者か確認する
→ 内容によって部署を分岐する
→ 必要なら人間へ転送する
といった電話業務を、会話フローとして組み立てられます。テストについても、音声テスト、シミュレーション、A/Bテストまで用意されています。
ElevenAgentsにも視覚的なWorkflow
Builderがあります。ノードごとに別のシステムプロンプトやLLM、音声、ナレッジベース、ツールを設定でき、条件による分岐や別エージェントへの転送、人間の電話番号への転送も設定できます。
VapiはSquadsという考え方が特徴的です。一つの巨大なエージェントで全部を処理するのではなく、目的別の複数アシスタントへ役割を分け、会話中に引き継ぎます。
Bland AIにもConversational
Pathwaysがあり、さらに大量発信、Webhook、外部API呼び出し、通話後処理など電話業務を組む機能が揃っています。
そのため現在は、「ノーコードならこのサービス、開発者ならこのサービス」というほど単純には分けられません。
どのサービスもダッシュボードから試せる一方、APIを使ってより深く組み込むこともできます。
違いが出やすいのは、既存システムへどこまで自分で組み込みたいか、それとも電話業務そのものをサービス上で管理したいかです。
音声品質だけを最優先するならElevenAgentsは有力
AI電話では、内容が正しくても声が不自然なら利用者の印象は大きく変わります。
この点でElevenAgentsは、ElevenLabsの音声技術をそのままエージェントへ使えることが分かりやすい強みです。
ElevenAgentsでは5,000以上の音声から選択でき、複数言語、カスタム音声、会話中の音声変更にも対応しています。エージェントは音声認識、LLM、音声合成に加えて独自のturn-takingモデルを組み合わせて、会話のタイミングまで制御しています。
ただし、ElevenAgentsなら必ず他3社より自然な会話になるとまでは言えません。
VapiはTTSプロバイダー自体を選べるため、ElevenLabsなど外部の音声を組み込めます。モデル、音声認識、TTSの組み合わせによって品質・応答速度・料金を調整できるためです。
Retell AIも音声やモデルを複数の選択肢から構成でき、Bland
AIも自社側で通話品質と低遅延を重視したプラットフォームを提供しています。
したがって、音声品質を選択の中心にする場合は、スペックだけで決めない方がいいでしょう。
同じ会話シナリオを4サービスで作り、
話し始めるまでの間
相手が割り込んだときの反応
固有名詞の読み方
長文を話したときの自然さ
日本語での抑揚
まで実際に聞き比べる方が判断できます。
ただ、音声の選択肢や音声体験そのものをサービスの中心に置きたいなら、ElevenAgentsから試す理由はかなり明確です。
本番運用では「通話後に何ができるか」も見る
AI音声エージェントは、通話を成立させただけでは業務になりません。
問い合わせ内容を記録する、予約結果をシステムへ戻す、失敗した会話を分析する、担当者へ引き継ぐといった通話後の処理が必要です。
Retell AIはこの運用部分が特に分かりやすくまとまっています。
通話履歴とトランスクリプトだけでなく、Post-call
analysis、成功判定、感情分析、独自分析項目、ライブ通話監視、AI Quality
Assuranceなどが用意されています。SalesforceやHubSpotとの連携もあり、通話結果をCRMへ戻す運用までサービス内でつなげられます。
ElevenAgentsも会話履歴の検索、評価、分析、A/Bテスト、メトリクス確認などを持っており、作ったエージェントをテストして改善するところまで対応しています。
Vapiは、通話結果を自社システム側で活用したい開発チームに向きます。
ツールやWebhookを通して外部APIへ接続でき、予約登録、CRM更新、メール・SMS送信など、自社の既存業務へ会話を組み込めます。さらにOutbound
Campaignでは最大10,000件の連絡先をCSVで取り込み、変数を使って電話ごとに内容をパーソナライズできます。
Bland
AIもバッチ発信、Webhook、通話ログ、評価、Outcomesなどを備えています。大量の電話を発信する運用と組み合わせて考えやすいサービスです。
この違いから、
自社システムへ自由に接続するならVapi
コールセンター型の分析・改善まで一つの画面で進めたいならRetell AI
という選び分けが特に見えやすくなります。
結局どのAI音声エージェントを選ぶ?
自社サービスやSaaSへ音声AIを組み込み、STT・LLM・TTSや外部APIまで自分で柔軟に設計したいならVapiが候補になります。モデルや音声プロバイダーを選べること、独自ツールやSquadsを使えることが決定打です。
予約受付、問い合わせ窓口、コールセンターなどを構築し、本番稼働後の監視・分析・品質改善まで一つのサービスで進めたいならRetell
AIが選びやすいです。Pay as you
goで20同時通話から始められるため、小規模な検証から実運用への移行もしやすくなっています。
大量の電話を発信し、LLM・音声認識・音声合成を含んだ分かりやすい通話単価で予算を組みたいならBland
AIが候補です。Buildで50、Scaleで100同時通話までプラン上明示されており、通話量が増えたときの料金とキャパシティを見積もりやすくなっています。
音声そのものをサービス体験の重要な部分として扱い、Web・アプリ・電話へ同じエージェントを展開したいならElevenAgentsを先に試しやすいです。音声の選択肢に加え、Workflow
Builderや各種SDKまで一つの環境にまとまっています。
単純な総合順位を付けるより、
開発自由度 → Vapi
電話業務の運用・分析 → Retell AI
大量通話と料金の見通し → Bland AI
音声体験とマルチチャネル展開 → ElevenAgents
という条件から候補を絞る方が、4サービスの違いを実際の選択へつなげやすいです。
まとめ
Vapi、Retell AI、Bland
AI、ElevenAgentsは、どれもAIを使った着信・発信の仕組みを構築できますが、サービスの中心は同じではありません。
Vapiは音声AIを構成する各要素を自由に組みたい開発者向け、Retell
AIは電話業務を本番運用しながら監視・改善したい用途、Bland
AIは通話量を増やしながら料金と同時通話枠を管理したい用途、ElevenAgentsは音声体験を重視しながらWebやアプリまで広げたい用途で強みが分かれます。
料金表の1分単価だけで決めるのではなく、何件を同時に処理するのか、どこまで自社で構築するのか、通話後の分析まで必要なのか、音声品質をどこまで重視するのかを先に決めると、自分に合うサービスを選びやすくなります。